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由布院温泉神楽~月一の奉~

 正直言って神楽ってお祭などの出し物でやっているのを観てたけど、何だか観てて退屈するなあと思っていました。ところがどっこい、今夜の神楽は違ってました。舞台で舞うというかその演技が観れば観るほどグサーと胸に突き刺さっさてくる!!頭をこん棒でガーン!と殴りつけられたような衝撃(笑)!    いつの間にか引き込まれ舞台と観客が一体となっていくんですね。舞いの一挙手一投足を見逃すまいと何ていうかグイグイ惹きつけられていくんです。その迫力に圧倒されて、しまいにゃ感動の、思わず手が腫上がるような拍手をしてました!----その感動の一部始終をお見せいたします。ドッ!ドーン! 
 
▲ドンド、ドンドッ、ドンド、ドンドッ…、4ビートか8ビートの太鼓が会場に鳴り響き、笛や鉦や小太鼓がそれに合わせてお囃子を奏でる。さあいよいよ始まりのイントロだ。   ▲演目は「柴曳(しばひき)」。天の岩戸開きを祈って、何とかの命(みこと)が岩戸の前に勾玉(まがたま)や鏡を榊に掛けて奉納するために、あまのかぐやまの真榊を根こそぎにするという神話を題材とした勇壮な舞である。
 
▲中学生だという演者がよろいを着て若々しい演技をする。華麗な舞に客席はみなうっとりと見惚れる。   ▲その華麗なる舞がひと通り終わると、ドドドーン!不穏な煙が立ち込めて舞台を霞と化す。
 
▲そこへ不適な面構えの赤い大きな顔をした何とかの命が現れる。錦糸の赤と金で彩られた着物に袴といういでたちだ!手には鞭のような細い棒を持っている。   ▲赤い大きな顔を客席を向け睨みまわす。まるでお客を挑発威嚇しているかのような振る舞いだ。
 
▲そのとき! なんと驚くことか客席から数人の男たちが榊と思しき葉っぱのついた木の枝で、何とかの命(みこと)に殴りかかっていったのだっー。バチン!バチン!と力いっぱい舞台を叩く大きな音に会場は唖然とする!そしてその枝の引っ張り合いが始まる。ガサガサと枝の音が大きく響く。まるで喧嘩をしているような大迫力!!   ▲呆気にとられて観ている観客は次の瞬間、榊の枝を取り上げた何とかの命(みこと)の嬉しそうな舞に、我に返って万雷の拍手を贈るのだった。
 
▲そして次の瞬間、何とかの命は身を翻して客席に下りてきたではないか。その鬼のような形相、小走りに客席の間を行くと、「うわー」と驚く客席。「私のそばに来ないでー」怖いからーっ!   ▲客席の後方にいた赤ん坊を抱きかかえて、命は踵をかえし、舞台へと帰っていくではないか! 唖然とする観客はそのすばやい身のこなしと、赤ん坊が恐怖におののいて今にも泣き出すのでは?との心配とは裏腹に大爆笑!
 
▲ところがだ!赤ん坊は泣くどころか意に介せずで、その鬼のような面相に驚くこともなく、その胸にじっとしておとなしく抱かれているではないか!これには観客もやんやの喝采を贈らねばならないのだった。   ▲ひとしきり座を盛り上げた命は榊の舞を舞ったあと、再び客席に降りて行き、子供を捕まえてきた。
 
▲続いて会場から次の子供を攫って、命があるったけの怖いしぐさをして子供を怖がらせようとしましたが、子供はニコニコと微笑んで従順に命に従って舞台に上がりました。これじゃ命も立つ瀬がないと舞をして子供の頭を優しく撫でました。   ▲大太鼓はドンドコドンドンドーンと激しいばち捌きを見せフィナーレを迎えます。身体全体を動かし、大きく振り上げる腕、大太鼓にぶつけるようなばち捌きはなんという華麗なる動きであろうか!会場の惜しみない喝采を受けながら汗をほとぼらせて叩きます。
 
▲カンカカンカンカカン、トントトントトントン、鐘と太鼓も絶妙なリズムで場を盛り上げます。   ▲笛のやわらかで懐かしい音色でこの物語を色付けしています。会場からは大きな拍手が起こり、この演目の幕が静かに下りました。
 
▲二つ目の演目「大蛇退治(おろちたいじ)」が始まりました。幕間から不気味な雰囲気で長い髪が真っ白な爺と婆が薄笑いしたような面をして登場。直角に腰が曲がり、よたよたと覚束ない足取りである。手には祓串を持っている。その爺と婆が煙の中で舞う妖艶なおどり。   ▲そこへ姫が現れる。扇と鈴のようなものを持っている。華麗で流れるようなゆったりとした舞を見せる。この姫の舞を見ながらこれからのストーリーがどのように展開していくのか、観客は頭の中で思い巡らせるのだ。
 
▲姫の表情も舞と同じように、爺と婆に比べると明るい面だ。姫の華麗な舞と爺婆の不気味な舞が相まって舞台は絶妙な構成となっています。姫はひと通り舞を終えると幕間へ退いた。   ▲姫がいなくなると爺と婆は、用意されていたしめ縄が巻かれた酒樽の酒を恭しく飲む。意味深々な場面だ。
 
▲「どうだ、うまい酒じゃろうが」と爺はわざとらしく観客の一人に酒を振舞う。観客はそれに応えるように、押し頂いて旨そうに酒を飲む。その仕草がというか演技がとても上手なので会場からは笑いと感嘆の声があがった。(ここでこれはサクラなのだなと気がつく)   ▲酒に酔った爺を介抱するように腰の曲がった婆が囃子に合わせてフラフラと舞台から退く。飲みかけの酒樽をそのままにして。(ははーんとここで気がつくのだが次は怪獣か何かが現れて、そいつを酔っぱらわせるつもりだなとストーリーがだんだん読めてくる)
 
▲深い煙のなかに竜の顔をした大蛇が二匹現れる。これは夫婦だろうか?(そんなことはこの際どうでも良いのです)舞台いっぱいに大蛇が登場しました。すごい迫力です。   ▲不気味な大蛇はとぐろを巻き、観客を圧倒する舞を見せます。動きがとてもリアルで中に人が入っているのでしょうが、うまく操って異様な怪獣のよう。
 
▲大蛇は酒樽を見つけます。「これは何だろう?」といぶかしげに酒樽をしばし観察します。しかし、酒樽から漂う芳醇な酒の匂い。警戒したり顔を浸けたり、この仕草がとてもユーモラスです。   ▲酒の芳醇な香りの誘惑に負け、とうとう酒を口にします。桶に顔を突っ込んで、二匹の大蛇はガブガブと飲んでしまいました。
 
▲そこへ、暗闇の中から、ス、スーと風のごとく、荒武者『すさのおの命(みこと)』が金箔の日の丸の扇で顔を隠し現れました。   ▲大蛇は酒が廻ってふらふらとしています。酔っ払った様子がこれまたユーモラス。しばし鬼気迫る殺気に一匹の大蛇が気がつきます。
 
▲「ええーい!」と大蛇に一太刀浴びせると、大蛇はビックリ仰天して命の刃に応戦します。   ▲ものすごい迫力の戦いの末、とうとう命は大蛇に止めを刺し、首を刎ねてしまいます。
 
▲もう一匹の大蛇もその騒ぎに目を覚まし、命に猛烈な勢いで応戦します。大蛇の長い身体に巻きつかれた命、、危うしッ!!   ▲太刀を振り回す命の身体を、大蛇の身体がじわじわと締め付ける。身動きのできなくなった命の頭を、今にも噛み砕こうとする大蛇。鬼気迫るシーン。
 
▲このクライマックスを迎えようとするシーンに、お囃子が激しく会場に轟く。心臓がドキドキする。盛り上がりがすごい!   ▲「オノレェー!憎っくき大蛇めぇー!」とばかりに、いのちからがら難を逃れた命は、大蛇に斬りかかる!その太刀捌きが見事の一言!東映太秦に行ったって、こんな見事な太刀捌きはなかなかお目にかかれないというほどの華麗なる太刀捌きである。
 
▲手に汗を握るシーンの連続に観客も息を呑んで、喰い入るように舞台を見る。   ▲「エエーイ!」気合もろとも命と大蛇は一瞬の間、そこに静寂の姿勢で立ちすくむ…。大蛇だけが動かなくなった。
 
▲命は大激戦のすえ、とうとう大蛇を退治してしまった。大蛇の首を据えて勝利の舞。   ▲そして、刀を押し頂くように神に感謝し、大蛇の身体に潜ませている神の刀剣を抜き出すのである。
 
▲赤い神の刀剣を抜き出した命は、人々を苦しめてきた悪い大蛇を退治し勝どきの舞を踊る。   ▲命は姫や村人を助けたのだ。扇を振り上げ神の剣をかざし、村の幸せを祈り祝いの舞を踊る。あー、メデタシ、メデタシとこの物語は終わります。
 
▲フィナーレの大太鼓がドッドッドーンと激しく鳴り響き、この見事な演出の神楽が幕を閉じました。   ▲演者の紹介。左の素晴らしいスサノオノ命を演じた方は顔に大粒の汗をかき、肩で苦しそうに息をしていました。それだけ大ハードな動きをしたということだ。この真剣な神楽の演技に観客は惜しみない拍手をしました。

長くなりましたが、写真では言い表せないほどの素晴らしい舞台です。
ぜひとも、この神楽を観に行ってください。おすすめします。

今夜は『雲取神楽座』という一座が出演しましたが
この一座は昭和2年庄内神楽の祖、高津神楽の佐藤菊太郎氏より伝授。
ジャズ音楽との相違点に着眼、ジャズ神楽で注目されています。
平成9年オーストラリア公演、平成12年東京目黒公会堂、
平成16年国民文化祭福岡大会に出演しています。

由布院温泉神楽は毎月1回公演しています。
会場:湯布院公民館大ホール
受付・会場 20:00
開演 20:30(約1時間)
入場料500円(小学生以下無料) 
※お泊りの宿に割引券があるとのことです。

夕食後のひと時、この神楽を楽しむのも、湯布院でのいい思い出になりますよ。
開催日等の詳しいことは由布院温泉観光協会のホームページへ